フーシェ

子供と一緒に本屋の児童書コーナーに行く機会が多いが、
私はそこで時々出逢う。
運命の本、というのは少し大げさかもしれないけど。


『フーシェ』という絵本に出逢ったのは、つい先日のこと。
表紙いっぱいに描かれた、優しくてかわいいけれど何処か寂しげな表情の『フーシェ』。
私は思わず手に取った。


*****


陽の当たらない路地裏でひっそりと咲く、弱々しい1本の小さな花。
それを見守る、ひとりぼっちの野良犬フーシェ。
フーシェのために、毎朝こっそり店の裏にパンを置くパン屋の男。

鉛筆だけで描かれた、色のないモノクロの街。
でも、そこに描かれるフーシェも花もパン屋の男も、何処か温かい。
不思議とそこだけ、ポツンと色があるように思えたりする。

「君がここにいること、僕は知っているよ」
孤独だった小さな花にはフーシェがいた。
孤独だったフーシェにはパン屋の男がいた。
花はフーシェに守られ、フーシェはパン屋の男に守られ、
パン屋の男はフーシェに心救われていた。
本当は、誰も、ひとりぼっちじゃなかった。


私は、大人になった今でも、時々得体の知れない孤独感を感じることがある。
だけど、私はひとりぼっちじゃない。
誰かを守り、守られるということ。
短い文章の中で、
7歳になったばかりの息子がそれを読み取るのは、もう少し先のことかもしれない。
これから先、
とてつもない孤独感に襲われる日や、何をしても苛立ち、心が晴れない日、
何もかもが疎ましい、そんな日もくるだろうと思う。
だけど、忘れないで。
何があっても、君はひとりぼっちじゃない。


そんなことを思いながら、この『フーシェ』を、息子の机の本棚に入れておこう。


悲しいけれど、温かい。
また一つ、良い本に出逢った。


http://shinpusha.co.jp/



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